約10年掛けて作った、本当にもてる力を集中した模型です。
この船を作る前に、今度だけは作業工程を写真で詳細に残そうと考えていました。写真は全部で767枚撮影しました。
各工程毎に詳細に説明できるだけ揃っています。このホームページではその一部しか提供できませんが、およその製作過程は順を追ってご理解いただけると思います。
74門艦の模型製作工程マップ
1. 白枠内をクリックすると作業の説明が見れます。
2. “次のコラム”をクリックすると製作工程を順に見ることができます。
ブードリオのライン図
大体船の大きさ、形の概要が分かります。資料は膨大、模型は精密ですが、ライン図は、時代が同じならどの船を見てもよく似た形をしています。
図面を書く
ブードリオ(フランスの74門艦、本の作者)の原図に透明のセクションペーパーを重ね、かなり細かくxy方向の座標を記録していきます。これを元に1.5倍にした寸法で、新しいセクションペーパーに座標をプロットします。プロットを辿ると大体綺麗なカーブが描けるようになります。
最初から細かく全部の図面を書いても大変なので、先に船体が組めるようにフレーム図面を描きました。先ほどのプロットしたポイントを、自由雲形定規を使ってカーブを描きます。なぜ普通の雲形定規を使わなかったかというと連続した複雑なカーブは描きにくいということにつきます。
原本通り最初は左側に船尾側、右側に船首側をフレームに重ねて作図したのですが、これではフレームの型紙を作るときにはラインが混雑して分かりにくくなります。それでフレーム1枚毎にカーブを描きました。
船体全体のフレーム配置、側面図、デッキ図などは元図を1.5倍にコピーしましたが、当時のコピー機は紙の問題もあるのでしょうが、どの部分をとっても1.5倍になるとは限らず、いい加減なところが多いのです。元々原図が大きいのでその辺のコピー機ではとても間に合いません。たまたまコピー機メーカーのサービスステーションを見つけたので依頼しましたが、コピーだけでうん万円とかなりの出費になりました。その図面がそのまま使えないとなると悲しくなってきます。
結局側面図などの基本的な図面はA1のセクションペーパーに鉛筆で作図しました。
図面から型紙に転写
図面で描いたフレーム図から、型紙に図を写します。
これも色んな方法があると思いますが、私の場合は図面の下に型紙の用紙を入れ、図面のカーブを辿りながらコンパスの針先で押しつけます、針の後が点々と型紙に残りますので、作図通り自由雲形定規で線形に変えていきます。
シンメトリーに型紙を
図面のフレーム図は片側しか書いてないので、型紙の半分にプロットし、中心部分を折り曲げて、ラインに沿ってカッターナイフで切り抜きます。こうすると型紙を広げたときシンメトリーにフレームの形ができます。
このままではフレームの内部がキットのフレームのように全部残っています。本物の船のようにキャビンを作ることができなくなります。スケールモデルを目指し、内部構造も表現したいとしている以上これではどうにもなりません。
フレームの内部ラインをカット
このフレーム型紙を使いフレーム内部の形を描きます。実はこのフレームの幅を精密に書いた図面が全くないのです。ブードリオの本4冊を隅々まで見ました。一部船体のカット図があって大体船底側は広く、上部の方に従って狭くはなっていますが、寸法としての表現はないのです。
フレームの前後を型紙で
適当に自分で決める他ありません。カット図から割り出した寸法で、型紙に反映しました。ここで問題にきずいたのですが、船体の前の方と後ろではフレーム1個の形も違ってきます。船体の中央部ではそんなに違わないのであまり気を配ることはありませんが、特に船首、船尾に近づくほどフレームのカット面に傾斜がつきます。結局型紙としてフレームの前側と後ろ側のフレーム図を描いてフレーム1個に2枚のフレーム図と型紙を作りました。