船内の構造はサムソンポストという支柱をキールソンに立てることから始まりました。支柱にはオーロップの上に昇る足かけも彫られています。この支柱の上にビームを取り付けていきます。
この模型では内部を見やすくするためにビームは殆ど片弦にしか取り付けません。実船では当然両弦にまたいでいます。支柱に交差するようにカーリングを入れ込みビームの補強をします。
オーロップの荷物台を取り付けます。
船底に入れる樽を作りました、これは以前、箱根の畑宿で勉強した箱根細工の技法がそのまま役立ったのです。
まず材料は木材の端切れで樽の一辺に相当する三角形の長い棒を作ります。これを重ねて接着し丸い棒にします、断面を見ると放射状にラインが見えます。これを木工旋盤で樽のカーブに合わせてそれらしく削ります。本物の樽のように両端が細くなった実感のある樽ができます。
この樽に真鍮の帯金で作ったたがをはめていきます。たがは予め真鍮の黒染め液で黒く汚しておきます。 樽の両背面は樽の妻を貼りつけます。こうしてダークのオイルステンを塗ると非常に実感のある樽が出来上がります。数が必要なんで樽は100個くらい作りました。これを図面通りにオーロップに並べ積み重ねます。樽と樽の隙間と船底にはバラスとを埋め込みます。この模型ではたまたまイタリアの大理石で作った小石を見つけたのでそれを使ったところ、まことに実感が出てきました。
オーロップの倉庫群
オーロップの中には目的別に沢山の倉庫がバルクで仕切られています。倉庫の多くは掌帆長に所属するもので船の用具が大半を占めています。
次ぎに多いのがパーサー所属の食糧倉庫です。生野菜、乾燥野菜、肉類、パン、コックピットには家畜までいて生鮮肉の確保をしています。
倉庫の構造
これらの倉庫は本物の船でも、薄い板囲いで囲んでいるだけなので、戦闘になると、全部外せるような構造になっています。模型でも忠実に取り外し自由にしようかと思ったのですが、工作が面倒で船が完成したとき、どうにもならなくなるという見通しから板壁は固定して取り付けました。ただ入り口や、窓は図面通り全て引き戸になっていて稼働します。
時々鉛筆の先で窓を開けたり、閉めたり、その都度“どんなもんじゃ”と自己満足の亡者になって楽しんでいます。
ロープの倉庫
船首側にアンカー用ロープの倉庫があります。ここのロープはしょっちゅう水に浸かったり、乾燥したり、環境ストレスを受けてそれなりに汚れています。この感じを出そうと思って試行錯誤し、人の意見も聞いたのですが、どうも実感が出てこない。中にはコーヒーで染めたら良いというアドバイスもありましたが、結局持っていたオイルステンのダークオークを薄く解いて浸潤すると、何となく感じが出ました。
艦長倉庫
艦長倉庫は自分が艦長になったつもりで自分用のワイン樽を入れ、毎晩晩酌していますという気分だけ味わっています。
弾 丸
弾丸はボールベアリングの玉だけ買ってきて、黒染めし、黒光りのした弾丸を表現しました。本当は細長い箱に入っているので弾の表面しか見えないのですが、この模型では断面にしたので弾の積み重ねの様子がよく分かります。
予備アンカー
本体に取り付けたアンカーは真鍮で製作したのでそれなりに重量がありますが、オーロップに予備として支柱に繋げたアンカーは木で作りました。それでも可成りの重量感が味わえる形になり、塗装も汚しをかけたので木には見えないでしょう。