船の部品で、これはシンプルというのは殆どないと諦めた方がよさそうです。ラダーの図面を見ました。今まで斜め読みをしていたので気づかなかったのですが、いよいよラダーに取りかかろうと思って詳細に図面を観察しました。
これは凄いぞ、大変ダー。
ラダーでここまでの仕事が終わってしまったんでは面白くありません。気を持ち直して、どのように具現化するか、作業の順序からいっても取りあえず、本体にラダーを取り付けないと次の工程に進めません。
材料は本体と同じ朴の木を使いました。図面通りに板をカットし取りあえず接着剤を使って各ブロックを組み立てます。それに真鍮板で作った(本物は鉄のようです)金具を取り付け、その金具に釘の頭を表現します。
ラダーと本体は特殊なヒンジ機構で結ばれています。ラダー側に穴、本体側は棒状にして差し込みます。ここは真鍮パイプと真鍮線で作りました。実際に本体にラダーを差し込んだのですが僅かな寸法の違いで上手くフィットしてくれません。
結局5回ほどやり直しました、ラダー1枚にこんなに労力と心労を受けるとは思っていませんでした。
汚い塗装
またまた難しい問題が持ち上がりました。船体の塗装です。私の考えは多くの帆船模型がそうであるような綺麗な塗装は望んでいません。それよりもわざと汚して、長い間航海してきた実感を出したかったのです。私が所属している同好会でも塗装とか塗料の勉強会はよく重ねてきました。然し話の内容は全てプラモデル同様いかに綺麗に見えるように塗るかという技法ばかりでした。
ウエザリング
塗装をしないと内部を作り込むことができないという切羽詰まった気持ちもありました。そこで塗装には割と記事の多い鉄道模型の雑誌を見ているとありました。“ウエザリングについて”のマニュアルでした。ウエザリングは実感的な径年汚れといって良いでしょう。確かに鉄道車両模型では、ウエザリングを施した立派な作品の写真が数多く出ていました。又、プラモでもいかに実感を増すかでウエザリングを施し、泥を付けたオートバイ、油の漏れた戦車等優秀な作品も多く見ました。
実船を重視
そこえいくと帆船模型の場合は工芸的美しさを追求している人が多いので、日本人特有の木そのものの素材感を生かしたい、だからそこは透明のニスとか、クリヤラッカーで塗装をする、あまり着色すると派手な色と嫌われる、これらの気持ちも良くわかるのですがどこかに飾るという意識の作品が多いということです。まして汚い塗装は認知されないのです。実船のことは放って、模型ではなく置物塗りに精を出すことになり、今回の模型では殆ど参考にならなかったのです。
古色との戦い
私としてはまず、古くて波風にさらされた感じを出したい。場合によっては船底内部など汚水と汚物のたまり場なので臭く感じられるような色にしたい。臭い色ってどんな色だろう。色んな絵も見て参考にしましたが、現実に塗装を始めようとしても結論が出ないので手も出ません。
やっぱり東急ハンズ
そのうち東急ハンズで黒とのこを見つけました。これなら汚れの表現が出来そうだ。然もパテ並に木地もスリットも埋めてくれそうだ。早速水に溶いてブラシ塗りをしたのです。とのこは塗った後、はがすことは小学校の工作で学んだことを覚えていました、サンドペーパーで磨くと程良く木の目にとのこが残って、陰影を付けていました。材料は朴だったのでこのままでは白すぎる、かといって着色ラッカーを塗ったんではプラモになってしまう。フランスの帆船模型教本にオイルステンが適切と書いてありました。早速これを信じオイルステンを4色購入しました。材料になぞって名前を決めているようです。
マホガニー・ライトオーク・ダークオーク・ウオルナットこれなら今後も使う機会は多いだろうと4色買ってしまいました。この4色を朴に塗って試したのですが、どうやらライトオークが本物のオーク材に似た感じを出していたのでこれに決めました。決めた後は早いものです。すぐ塗り始め一気に塗ってしまいました。1回ではとても味わいが出ないので多い部分では5回くらい塗り重ねました。