フレームの作り方
今まで多くの資料を見てきたが、フレーム作りも色んな方法があって、これだけでも詳しく説明すると数十頁になると思いますが、そのうち代表的な物を紹介しましょう。私なりに勝手に名前を付けたので適切かどうかは保証の限りではありません。
1. ピース組み立て
非常にオーソドックスな手法ですが、フレームというのはいくつかのピースを組み合わせて作られています。大体フレーム図に各ピースのカット図はありますが、これらを省略し、手抜きして一枚の材料から切り抜く場合もあります。本格的なスケールモデルになると、資料通りにピースを作る必要があります。特に74門艦のフレームは2重貼りになっています。各ピースを交互に貼りつけ一つのフレームを組み立てます。
2. アフターカット
船底の基準ラインとアッパーラインを予め決めます、基準ラインを元にフレーム図を描き実際のフレームよりもアッパーラインまでは平行にフレームを伸ばします要するに上下のラインを固定にしたままのフレームができます。これを組み立てた後ブルワークのラインにそってカットします。
3. ラミネート
フレーム型を少し内側にカットし、フレーム型に沿って板を曲げ、何枚かを張り合わせ、後で細部の形を削って成形します。これは多少インチキ工法で本物の船ではこの方法でのフレーム作りは全くありません。
4、ブロック合わせ
先にカットラインに相当する角度でカットした板を交互に貼りつけます。1個のフレーム材ができたところで型紙に合わせてフレームラインを描き、ラインに沿って糸のこで切り抜きます。74門艦のフレームは合計でカントフレームを除き62個になります。私はこの方式で作り上げました。
フレームをカットした後整形
糸のこでカットしたフレームはその切り口はがたがたのままです。これを最初は木工用鑢とか金工用鑢でフレームラインまで削っていきます。この段階ではフレームラインを少し残したくらいで止めておき、後で全体のフレームを組んだ後仕上げ磨きします。
キールを作る
キール材も交互に貼りつけた板材を使います。これだけ大きい船になると一枚板も少ないが、まして本物の船ともなると一枚では出来るわけがありません。本物と同じように板材を張り合わせました。材料はフレームと同じ朴材を使用しています。
この組上がり材に図面を重ねフレーム同様カットラインを描きます。それを糸のこでカットします。この辺は、形は違ってもフレーム加工と殆ど同じ作業です。
キールにフレームが入る溝を切り込むので仕事量はいやになるほど多いのですが、この辺は根気との勝負になるでしょう。
次ぎにキールのフレームカットと同じ位置に溝をカットしたキールソンを作ります。今まで多くの作品を展覧会で見てきましたが遂にキールソンの存在がはっきり表現してある模型にはめぐり会えませんでした。ところがキールソンは船にとって、とても構造的には大事な部品でこれがないと強い船にはなり得ません、こんな所でもこの作品では手を抜かないことをモットーに実物通りの構造でフレームをキールとキールソンで挟んだ本物の模型を作り上げました。
フレームとキールの組み合わせは1箇所毎に微妙に違ってくるのでこれの調整は最も苦労したところです。