外観上は何だ地味な船だなと感じるような、飾りとか形に華麗さのない、本当の実用艦なのだ。君たちは帆船というとサンタマリヤとか、カティーサークなど有名な帆船を思い浮かべるだろうが、この船は戦いを専門としている3級戦列艦で未来で云うと小型の戦艦、又は大型の巡洋艦に相当する大海戦に向いた万能艦である。
ただ戦うことだけの機能の固まりだ。だから飾りを見て楽しむような艦とは性格が全然違うので、そのつもりで見ないとがっかりすることになる。だけど地味なだけにスターンの姿などは見ていても飽きが来ない、我が輩が艦長になって10年にもなるが未だにスターンの姿を見ると本当の美を感じるのだ。
この艦はどこから乗るのかって、艦の真ん中辺にフートボードがある、中は刳り抜いてあるのでそこに手を掛け上っていく、ギャングウエイのレールの開いたところから甲板に降りるのである。但しこれは平時とか、出港時のことで戦いになると、そんなことはどうでも良いし、どこから乗っても構わない。
フートボードから手を離すと確実に落下し、海へボチャーン、又は土の上にドターンと叩きつけられるので痛みの分かっている者は注意するように。高さは最高で7メートルもある、大けがをするか、命を失うこともあるので慎重に昇ること。
本艦としては一切の責任、賠償も負わないので個人の責任で自由行動は許可する。それではいよいよ乗船することにしよう。分からないことがあったらできるだけ海兵隊員に案内を求めること。
呉々も注意して置くが後世代の商船と違って、艦に乗船するだけでも命がけである。ブレストのフートボードは急で、手を階段の穴に入れて掴みながらまるで登山のロッククライミング並の技術を要する。
帆船ではここが見所、フィギヤヘッドを見て欲しい、刃を持っている人物は女性である。女性はギリシャ神話に出てくる戦争の女神で、安全のためには無くてはならないもの。このフィギヤヘッドのおかげで色んな苦難を受けても沈没もせず、ご覧の通り勇姿を見せておる。
装 備
生活機能も備えているデッキである。船首側は主に厨房、500人くらいの乗員の賄いを引き受けている。船尾の方は青年士官の食堂兼会議室になっている。
中央には大きな開口部メインハッチウェイがありボートを固定している又予備のマスト類もここで保管しておく。
士官室の前に肉の貯蔵庫があり風通しの良いバルクで囲んである。
このデッキには18ポンド砲30門が配備され各デッキ中では一番多くの大砲を積んでいるデッキである。
ギャングウエイ及びフォアキャッスルの甲板を貼る前の姿
ギャングウエイの甲板を貼る前にライフボートと予備マストをアッパーデッキに固定
このデッキには大砲を30門配備している。船尾から覗くと、ずらり並んだ大砲は壮観
このキャプスタンは巨大で、アッパーデッキとメインデッキを貫通したタンデム型(串刺し)で1組のキャプスタンとして使用している。主に錨の上げ下げに使っているが、錨は大変重いので、特に引き上げるときにはロープに水が浸透して超重くなる。
このキャプスタンには棹が10本付いていて1本の棹に5から10名の要員が配置され、棹を押しながらキャプスタンを回転させるのだが、上下合わせると最大200名くらいの力を集合することが出来る。それでも大変重労働になり嫌がる兵士が多いので、命令を聞かないで就役しない場合は処罰することになる。
下の方にはストッパーが付いており回転を固定することが出来るので逆転の危険も防止できるようになっている。
・ 重い錨を上げるときに使うので二つのキャプスタンを繋ぎ、操作員を増やして力を集結している。
・ タンデム形のキャプスタンでメインデッキとアッパーデッキとはシャフトで繋がっている。
・ クオーターデッキを貼る前にキャプスタンの位置を確認。
キャプスタンにはドライブ用の棹が取り付けてある、これを30人から50人くらいで押しながら回る。
写真のようにこのキャプスタンはアッパーデッキからガンデッキまで貫通しており上下に人が付いて動かした。
アッパーデッキを貼る前の姿、メインデッキ場のキャプスタンと砲列、アッパーデッキを貼った後はこの姿はもう見えない。