ガンデッキの艦尾に小さいオーロップに降りるハッチがある。此処だけはバリアで倉庫とは隔離され、個室になっている。出入りはハッチだけである。このハッチを俗称レディースホールと呼んでいるが、主に貴族の召使い、とか従者のレディの用足しが出来るようになっている。女性専用口である。
戦闘になると便乗している貴族の女性も交え女性は戦火を避けて此処へ避難することになるのである。
皆さん見たいだろうが何しろ男子禁制の場所、完成した部屋は見せられないので工事中の内部を見て欲しい。
ウインチが出来る前、このキャプスタンに頼るしかなかった。主に荷物の積み込み、食料の運搬、時には操帆にも使用していた。ロープの緊張用動力として大事な器具である。
右はフオアキャッスルのキャプスタン。
小麦粉と乾パンがぎっしり積まれている。大事な主食倉庫である。乾燥したり、湿気が加わったりいろいろ外圧が加わっているので、それらの試練に耐えた得も云われずの深い味がする。
特に乾パンは堅く焼いてあるので、日本の煎餅どころではない、ただ幸いなことに乗員は我が輩を除いて、みんな若い、壊血病にやられて歯を痛めた奴は別にして、こんな堅い物を平気でばりばりと心地よい音を立てながら喰っておる。
階段銀座
一番利用の多い階段で、普段でも込み合うが、戦闘時は怪我人、火薬と緊急運搬があるので大変な混雑をする。そのため他の階段に比べ幅を大きく取っている。
艦内では銀座に相当し人が集まるところでもある。
この倉庫だけは唯一個人持ちの倉庫である。航海中の艦長好みの食材は殆ど積まれている。艦長というのは他の士官と違って、物資の支給はない、すべて個人持ちなのだ。だからこの服もこの拳銃もすべて自分で買った物であり、私物である。
だから自分で計算して食糧も積み込む、それを保管する場所として倉庫の一部を確保している。勿論ワインなんぞは好みのブルドーなど高級酒も沢山入れてあり、お客が来艦すると振る舞うようにしている、お客にワイン通であることを知らしめるのも、戦い以上に名をあげる行為となる。
水もワインもラムもこの辺の樽の中に入っている。ワインは専ら、士官用で、兵隊は滅多に飲むことは出来ない。
兵隊の方はラムの倍くらいの水で割ったグロッグを1日3回配給することにしている。なぜ3回に分けて支給しているのかって、それは一回で渡すといくら注意を与えても、一辺に飲んでしまう癖の悪い奴がいるからだ。1日3合くらいで適当に気持ちよくなり、酔っぱらわないという適量である。日本で云えば焼酎の水割りといったとこか。但し戦いに勝ったときなどは無制限に与えるので、すぐ酔っぱらって喧嘩が始まったり、刃傷沙汰になることもある。どこの世界でも一緒だ。
垣間見られる艦長又は士官用のワイン倉庫
個人用のストックではない。艦員全体の食料を預かっている。主に乾燥品が多く、まだ缶積めが無かったので、樽付けの塩漬け食材も多い。チーズなんぞは変質しにくいが虫が入りやすいので、虫も一緒に食べるようにしている。野菜は寄港地で積み込むが物の3日も持てばよい方でこれが長期に無くなると、やがて壊血病が流行り、ひどいときは乗員の半分くらいを一挙に失うこともあるのだ。
食料貯蔵庫での大問題はネズミの養育場となってどんどんネズミ算で増え、艦内で20匹の猫を飼っているが追いつかない。兵隊達が罠を仕掛けたり、叩き出して相当数捕まえるがとても追いつきそうにない。
暗くて臭いが此処がメインの倉庫である。一番船底には小石のバラスとを撒き船体の安定を図っている。その上に予備アンカーとか大砲の砲身を敷き詰め、その上に水樽を整列して置いてある、荷崩れを起こさない為、物と物の間はバラストで充填している。この辺の様子はこの模型を見ても良く再現してあるので、実感を感じる邪魔にはならないだろう。
船底には汚水が溜まり、これをビルジといって船内の汚い物の代表である。時々ポンプで汲み出してはいるが、完全に除くことは出来ないので、考えようによってはいつでも逢える懐かしい場所でもある。
メインホールド(主船倉)、縦に長い棒状はポンプ