製作準備

 

1995.6月いよいよ製作のキックオフとなりました。

まず最初にしたことは本から図面部分を拡大コピーしようと、ゼロックスのサービス店へ行きましたが、そこで本当は1/96の図面なので4倍にしないといけなかったのですが、誤って2倍でコピーしました。それでもうん万円近くとられ、4倍コピーは諦めました。

コピーをしても図面に歪みがあると何を基本にしたらよいのか分からなくなるので、ここは一つ書いてみようと図面書きから始まりました。

図面の書き方の詳細については省略しますが、取りあえずA1用紙を使って1/24縮尺の原寸で描いてみました。このとき船体フレームの構造はパナルトのキット図面を参考にしました。

なぜパナルト方式を採用したかという事ですが次の理由で採用したのです。

普通キットではキールの打ち抜き板にフレームの板を差し込む方式が多いのですが、今までのキットではフレームとキールの組み合わせのクリアランスが多く、何らかの補強、サポートをしないと、そのまま外板を貼るわけにはいかなかったのです。

特にキールなどは曲がりやすく余程注意しないと板を貼ってから気づいても後の祭りになってしまうのです。

パナルト方式だとたった1枚の板でフレームが自由性を失い、キールもろともぴたっと位置が決まり、シンメトリーを保つこともできます。勿論この方式を採用しました。

コンストラクチャー模型にしたい思いもあったのですが、基本構想でも述べたように今回は構造よりも美観という事で板貼りにしました。


船体部品

 

○ 枠抜き

フレームはシナベニヤ板をカットして作りました。その前にフレーム図面からケント紙で型紙を作り、ベニヤ板に0.2mmフエルトペンでなぞっていきます。

カットはバンドソーを持っているので、これなら簡単とは思ったが、あっちこっちで作品は汗と涙の結晶なんて云ってますので、あえて糸鋸で手切りし汗をかく作品にしたのです。私がもっとも工作力で自慢できるのが唯一鉄道車両模型で鍛えた糸鋸使いなんで、殆ど仕上げをしなくても良いようにラインに忠実に沿ってカットしました。

キールは船体の全長が約1. 3メートルになるので1枚の板では工作がやりにくい。結局2枚にカットして途中で補助板をサンドイッチ状に貼り付けました。

船体全体をまとめ固定するサポーターはより厳密に寸法を決めないといけません。

フレームの入る部分の中心線を描いて慎重に溝を切りました。

○ ヘッドフィラー

厚さ70mmの朴材を切り出し、プロクソンの電動糸鋸でカーブをつけながら切って行くのですが、厚さ70mmでは思うように進みません。糸鋸の歯も合計5本も折ってしまいました。

機械が熱を持って連続に使えないのです。騒音も激しい、近所迷惑にも考慮してとぎれとぎれの作業になります。2個切るのに述べ2日もかかりました。

切っただけで仕事が済んだ訳ではありません。カット後、ブロックのシンメトリーを気にしながら整形、これが労力・時間とも大変で主にサンドビック(サンドペーパーに似ていますが、すり減らないスウェーデン製の特殊な研磨道具)の半丸を使い、削っていくがなかなかはかどりません。

サンドビックがすり減った場合、サンドビックの輸入が止まった現在、その代替え品を探さないといけないでしょう。


○ トランサム

トランサムのフレームを図面からけがき、6本5.5tベニヤ板から切り抜きます。

スターン枠をトランサムフレームに接着したものを本体に取り付けます。


○ スターン窓枠

最初朴材の10ミリ厚さの板から切りだしました。かなり上手くできあがったのですが、微妙に窓枠のラインにばらつきができました。

そこでセル板を使う方法を編み出しました。

最初にセル板が入る窓枠のジグを木片で作り、セル板をカーブに沿わせジグの中に入れます。

次にセンターの桟を入れ接着する、これを元に薄いセル板を張ってディテールをつけるのです。

プラカラーで全体を塗装、全体塗装したので材料は工作がしやすく仕上げが綺麗なら何でもよいと自己弁護しました。しかし上部のカーブが気に入らない。結局朴板を切り抜く方法で最初に戻ったのですが、これでやっと落ち着いたようです。