接 着
帆船模型で接着作業といえばメインの作業です。色んな接着剤を使いこなすのには実際に作業をしてみないと、体験を積まないと分からないことも多いのです。作業のやり方は誰でも教えてくれます。また作業の基本は色んな参考書にも書いてあります。だけどうまくいくかどうか自分のものにするのは実際に作業するしかないのです。
それから接着剤による特徴を掴むのも微妙なところは体験でスキル作りをするしかないのです。これが縁台将棋のアドバイスのように岡目八目のようには行かない難しさがあるのです。まあとにかく失敗を重ねながらうまくなっていくというのが実状です。
どんな接着剤を使うにしても共通したことは接着する面が綺麗でないとうまくつかないんです。ついたと思ってもすぐ剥がれてしまいます。
接着面の汚れは何が多いでしょうか、やはり油分でしょう。特にシリコンは最悪です。もし油分があるときは中性洗剤を薄く溶いてふき取り、あと水洗いするのが安全でしょう。金属の場合はアルコールだとかベンジン、シンナーで良くとれるのですが、生地がプラスチックの場合は悲劇を生みます。後でサンドペーパーの#1000くらいの細かいのでこすっておくと完璧でしょう。
〇 木工ボンド
木と木、木と紙などに適しています。帆船模型ではキールとフレーム、外板貼り、甲板貼りなど主な接着作業の殆どはこの木工ボンドを使います。この接着剤はエマルジョン系となっていて水で薄めることができます。水分の蒸発で接着するので水分が多いと接着するまでに時間がかかります。
金属とかガラスにはうまく付かないので使わないようにして下さい。
普通は原液のまま使います。接着する片面に薄くのばして、場合によってはへらなどを使ってのばすと良いでしょう。すぐ相手の木材をくっつけないで少し1~2分後くらいの方が良いと思いますが、表面を乾かして相手の木をくっつけます。接着のためにはただくっつけるだけでなく強く押さえる必要があります。強く押して接着剤が薄くのばされるほど接着が強くなるのです。そのためにハタガネとかCクランプ、事務用クリップなどで接着面を締め付けます。どうしても締め付け金具がかからない部分などではセロテープで貼り付けることもあります。大体5分もすれば接着しています。
接着後、接着剤がはみ出すことがありますが、このときは塗れ雑巾で拭くか、固まってしまった場合は熱湯で拭くと大体とれてしまいます。
ロープのけば止めにも使いますが、このときには水を接着剤と同量くらいで薄め、接着剤を指先につけてロープをしごきます。
〇 エポキシ系接着剤
2液性で普通家庭用ではチューブに入っています。一本の方が主剤で、別の一本が硬化剤です。この両方がうまく混合されると反応が始まって固まります。市販されているものは殆ど主剤と、硬化剤は半々で混ぜるようになっています。目分量でもあまり問題はありません。これを手早くへらとか細い棒でかき混ぜ、むらのないようにうまく混ぜます。そして接着面の片面に塗って、その上からもう一方の接着面を重ねます。金属にも向いています。はみ出すと後では殆どとれないので接着面一杯に塗らない方がよいでしょう。こちらも接着には圧力が必要です。接着剤によって固まる時間は違いますが時間単位で可成り2時間とか3時間と長いのが特徴です。接着力が強いので金属と金属、金属と木材に向いているので飾りをつけるのにはよいでしょう。
熱いお湯には接着力が弱くなります。剥がしたいときは煮沸したりします。
〇 瞬間接着剤
シアノボンドとも云われています。くっつけるものは万能と云っていますが、全面的に信用はしていません。空気中の水分を呼んで固まるので乾燥させると、くっつきにくくなります。浸透性が高いので隙間にもどんどん入っていきます。場合によっては接着面を先に重ねて浸透させる場合もあります。普通はエポキシ同様片面に垂らしておいて、片側の接着面を重ねます。固化の時間が早いので接着物を1分くらい手で押さえる程度でくっつきます。接着強度が強いので手に接着液が着いたりすると大変です。ものもくっつくが手もくっついてしまいます。前に瞼に飛んでびっくりして瞼を閉じたものですから、瞼同志がくっついて目が見えなくなり、手術した人がいました。永久にウインクしたい人などに向いています。
湿度が高いときなど水分を呼びすぎて接着面が白くなることがあります。息などは吹きかけない方がよいでしょう。接着剤が水分と反応して固まるときには熱と有毒ガスを出します。これはエポキシの場合も同じです。接着後、顔など長時間近づけないようにしましょう。固まった接着剤を溶かす液を売っています。白濁したときはこれで拭くと良くとれます。接着面に浸透させて少し時間をおくと接着面を剥がすことができます。
この接着剤は固まった後、または接着した後ショックに弱いので接着部分を叩いたりするとぽかっと取れたりします。できたら金属線などで接着物をジョイントして接着剤をつけると強度としては強くなります。接着剤の量が多すぎても接着が弱くなるのでできるだけ少量でつけるようにしましょう。
一旦接着剤がくっついて剥がれた後そのまま接着剤をつけてもうまく接着しません。このときは生地が出るまで磨いてから接着剤をつけます。
外板貼りのときなど木工ボンドをつけて端の方とか要所々々にスポットで瞬間接着剤を落として貼り付けると、指の先で僅かな時間押さえるだけで外板が効率よく貼れます。私はこの技法をよく利用しています。
〇 合成ゴム系接着剤
普通飴色をしています。金属と木をつけるときなどに向いています。接着剤がはみ出しても慌てないで固まるのを待ちます。固まったらカッターナイフなどでこそげると簡単にはみ出しが取れます。この接着剤は接着の両面に接着剤をつけ、接着剤がある程度固まり掛けたときに接着すると強く接着します。ヘアーブロワーで熱風を掛けると接着剤がのびてうまくくっつけることができます。帆船模型では船底に銅板を貼り付けるとき最適です。接着後は柔軟性があるので瞬間接着剤のようにぽかっと剥がれることは少ないです。
〇 セルローズ系の接着剤
セメダインCが良く知られています。透明で液の溶剤が蒸発することで固まります。接着力が弱いので、あまり力の掛からないところに使います。特に透明のフイルムをガラス代わりに接着したいときなど、はみ出しても透明なので目立ちにくいです。これも固まった後なら、カッターナイフで縁を削るとはみ出しは簡単に取れます。